【書評】絵はすぐに上手くならない

絵はすぐに上手くならない」ー成冨 ミヲリ
を読んだ感想です。

小さい頃は、本を読むこと、絵を描くこと、ものを考えたり作ることが好きでした。

小学校の時は、漫画家か声優さんになりたいと思っていました。
毎日毎日、きらきらしたドレス、大きな目の女の子を描いていたのを今でも覚えています。

でもだんだんときっちりした絵を描くのがあまり楽しく思えなくなってきたのと、小学校高学年くらいから絵の能力の差のようなものを感じていて、絵を上手く描くことを諦めていました。

高校の選択授業では美術を選んでいたけれど、高校1年生の時の美術の先生と反りが合わず、さらに絵を描くことへの苦手意識が強まりました。(余談ですが中学生の時はバンギャル全開だったので、美術の授業ではひたすらDir en greyのビデオケースや厨二ポスターを作っていました)

そういう積み重ねで「私は絵が描けない」と決めつけていたので今回読んだ「絵はすぐに上手くならない」を目にした時も「知ってるよ。でも大人からじゃ無理だよね。」というひねくれた気持ちにしかならなかったのですが、思い切って読んでみると「絵が描けない」のではなく、「絵」というものをものすごく大きな塊だと捉えて苦手意識を持っていただけであることに気づきました。

絵が上手い人=デッサンも神ががっていて何も見なくても何でも描けちゃって何を描かせてもなんかすごい!全方位神!(この感想がもう小物感溢れる感じ)というイメージだったのですが、「絵が上手い」と一口に言っても「技術的に上手い」と「形を知っていて上手い」があることや、受験デッサンと仕事に活かす絵は違うことなどが詳しく書かれており、「絵が描けない」というコンプレックスを抱えている人間からすると目から鱗の内容でした。

自己診断テストで自分の長所・短所が知れたり、弱点や能力・目的別のトレーニング方法など、論理的かつ細かく書いてあります。

この本を読んで一番知れてよかったなと思ったことは、
絵が上手い=なんかすごい塊…ではなく、絵を描くために

・アイディア
・オリジナリティ
・形状ストック
・構図構成力
・形を取る力
・立体を把握する力
・テクニック
・完成させる力

を使うということ。

問題点を細分化して、論理的に書かれていることによって、捻くれていた私の心にもスッと入ってきました。
絵に限らず問題を細分化することは大切ですね。

なんだかんだで毎日のようにサイトのラフを手で書いてみたり、動画の絵コンテを描いたりはしているので、もう少し勉強してみようとやっと思うことができた一冊でした。
出来ることなら中学生くらいの時に出会っていたかった(でもそれだと内容が理解できないかもしれない…)

かなりオススメの一冊です。